JOURNEY

by Sablo Mikawa

2021/Jan.

9th-30th

Sablo Mikawa/サブロミカワ。
一体何者なのか。
高校を卒業した剣道少年はどうしていいか途方に暮れてヨーロッパへ旅に出る。

欧州国内をほとんどと、チュニジアやエジプトまで旅し、言語を超越した表現”絵を描く”という方法でコミュニケーションを取っていった。
それは出会った人の似顔絵だったり、目の前に広がる景色だったり。二度と出会うことのできない瞬間を描く。そして時にはその作品と何かを交換した。


帰国後、2014年、27歳の時。ついに画家になると決意したサブロはとりあえず好きなものを油絵という最もクラシックな手法で描きまくった。
描いてはインスタグラムにあげ、いいねをもらい、いいねを返した。そうやってSNSの世界でヨーロッパの旅とは違った形で作品が旅立っていった。
代表的なgiant36シリーズをはじめ、youtubeで集めたスケーターがこけているスクリーンショットを描いたClash、リアルとアンリアル=くY.b.n.s.>(ヤバニーズ)シリーズ、自身の少林寺に基づいたKung Fuシリーズなどそれぞれコンセプトの違う絵画のシリーズが存在するがそのどれもに”人間味”という根底の題材がある。
綺麗に決まっているトリックではなくそこまで辿り着くためのクラッシュ。印象付けるための顔のパーツを強調しすぎてやばい顔になっちゃっているやつら、頭だけちっちゃくてなんか間抜けな巨人、どのシリーズを語る時もサブロは笑いながら話す。


そうやって好きなものをただただ描き続けたサブロにラッパーの田我流氏のシングルのジャケットのアートワークの依頼が舞い降りた。好きなことを描き続けていたら憧れの世界の人とつくることができた。


JOURNEYで発表される作品は、 2020年に馬喰町のビルで開催された“ EASTEAST_Tokyo”での展示のシリーズを発展させたもの。
EASTEAST_Tokyoでは家族というポッセにフォーカスしたが今回はポートレート内に存在する個人(もしくは犬など)に焦点があたっている。
砂漠を背景にピラミッドを見つめる探検家のような人物。雲海から顔をだす山頂を背景になんとも言えない幸せそうな顔をする男。荒野の7人に現れるような保安官。


今回サブロは展示に向けた製作の過程で大きな壁にぶち当たっている。聞けば、大きな作品に細かい毛を描き込まなければならないのだが、描いても描いても毛がいい具合にならなかったとのこと。そこでサブロは自暴自棄になり、もう無理かもしれないというところまでいった。
そこに友人から「Go Toで安いから富士山を目指すはとバスツアーに行こう」と誘いの連絡がきた。どうしようもないし、行くか。と、とりあえず富士山を目指すバスの車内から酒をあおり自分の辛さを思わず吐露したところ友人はもっと大きな問題を抱えていた。


バスが止まると周囲は一面の雲、雲。雲に包まれて何も見えず、とりあえず来ただけの2人はこれからどうなるかわからない。そんな中ゆっくりと雲が流れはじめ目の前に巨大な富士の山が現れた。その瞬間サブロは己の小ささを悟り、自宅に帰った彼はオレンジのセーターを着た男の背景にその時の富士山を描き入れた。
どの景色もこうやってサブロが旅し、目にしてきた景色であり、この人物はサブロそのものだ。
サブロはこの人物たちに憑依し、それを描くことで追憶というジャーニー体験をしているのかもしれない。
楽しく絵を描く。それだけがサブロの願いだ。

-細野晃太朗(BAF Studio Tokyo)

SABLO MIKAWA / サブロ ミカワ

1987年生まれ。埼玉県出身。東京都在住。
幼少期の頃の体験や、自身の敬愛するカルチャー、映画などから着想を得て、動画の一場面の描写や、無骨さを強調した人物画など、様々なシリーズ作品を油彩で描きます。
彼が描く風景や写真のように切り取られた瞬間、パーツが誇張された生き物、そして極端に小さい頭のポートレートは現実世界に実在する存在ではありませんが、それは確かに彼の記憶の一部としてペインティングに落とし込まれています。
ヒップホップ、スケートボード、グラフィティー、そしてカンフーやヤンキー。東関東エリアで少年期を過ごした1人の少年の純粋な部分に少しのサブロ感を加えた作品にはユーモアと写実性が同居し、時代背景をを感じさせない伝統的な手法描かれた油画作品は永遠に残る彼自身の記憶の記録なのかもしれません。